AWSを使い始めてみたは良いものの
次の職場のインフラがもっぱらAWSということで、今のうちにAWSに触れておこうと思いアカウントを作りました。 よくある話ですが、使えるようになったは良いものの目標とかゴールが無いと中々捗りません。 というかAWSはサービスが多すぎて何から手をつければ良いのやら…
と、途方に暮れて次職のエンジニアの方に泣きついたところ、次の本を紹介されました。
AWSをはじめよう ?AWSによる環境構築を1から10まで? はじめようシリーズ
- 作者: mochikoAsTech
- 発売日: 2018/10/29
- メディア: Kindle版
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内容としては、EC2で立てたWebサーバーとAmazon RDSで立てたMySQLを使ってWordPressを構築する、というものです。 とても読みやすく、すんなり一周できてしまったので個人的にポイント高かった点を紹介します。
AWSをはじめよう
この本について
昨年10月に開催された技術書典5で販売された自費出版の技術書、所謂同人誌です。
この本の前段として「DNSをはじめよう」という本があるそうです。今度読んでみよう。
DNSをはじめよう ?基礎からトラブルシューティングまで? はじめようシリーズ
- 作者: mochikoAsTech
- 発売日: 2018/10/29
- メディア: Kindle版
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よかったところ
導入がとても丁寧
導入として、そもそもITの世界におけるインフラとは何か?サーバとは?という基本的な説明から始まり、 オンプレミス、仮想、そしてクラウドと、大前提となる知識を順序立てて説明されています。 オンプレとクラウドのメリット/デメリットも比較されていて、クラウドを採用する動機や根拠を理解しやすくなっています。
後述しますが各用語を説明するための例えが頻繁に使われており、 今までインフラに触ったことが無い人にも簡単にイメージできるようになっています。
例えが秀逸
例えば物理サーバと仮想サーバの説明として一軒家とマンションを例に挙げています。 EC2を停止・起動する度にIPアドレスが変わってしまう問題については、 IPアドレスを会社オフィスの電話番号に置き換えた説明をしています。 例のチョイスが秀逸なので、それぞれがどういう意味なのか、どんな状態なのか、 どのようなメリットや危険があるのか理解しやすくなっています。 また、自分の身近にある、実際に見れ(触れ)られるモノに例えているので、 初心者にもイメージしやすいです。
作業の意図が示されている
私が学生時代にC言語を習った時、初めて書くコードで次の行はとりあえずおまじないとして覚えていてくださいと言われました。
#include <stdio.h>
これで素直に納得する人もいれば、おまじないの意味を延々と考えてモヤモヤする人もいると思います。 こういった説明がダメとは言いませんが、そのタイミングで説明しなかった部分は後から追いかけられるようにしておくべきです。 本書ではセキュリティグループの設定など、なぜその作業や設定をする必要があるのかが明確に示されています。 また理解を深める手段として、その作業前後で状態がどう変わったのか確認する作業も組み込まれています。
実運用を考えてトピックを立てている
本書で一番素晴らしいと思ったのがこの点です。
よくある「やってみた」系の記事やチュートリアルでは、必要最低限のことしか書かれていないことが多いです。 チュートリアルでニワカ知識だけつけて実務に挑んで痛い目見た、なんて人多いんじゃないでしょうか。 実際、AWSにも簡単なチュートリアルがたくさん存在しますが、本当にインスタンスを立ち上げて落として終わり、というものが大半です。
本書では単にサーバーを立てるだけれなく、突然のクラッシュに備えたバックアップ方法、 Elastic Load BalancingやAutoScalingの設定方法まで紹介されており、 ひとつのサービスを継続的に安定稼働させるための基礎知識を学ぶことができます。
更に、IAMの作成や権限設定、MFA(多要素認証)によるセキュリティの担保や、 請求アラートの設定など、初心者が見落としがち/ハマりがちな内容もきちんと説明してくれています。
注意点・物足りないところ
他書籍での紹介内容が前提
これは前書きでも著者がきちんと言及されていますが、 前書「DNSをはじめよう」で紹介されている内容が前提として必要です。 具体的には、AWSアカウントの作成と自分のドメインを取得してRoute53に登録する方法です。
私の場合、アカウントは既に持っていたのと、ドメイン登録は他の情報を色々漁ることで回避しました。 が、やはり前書とセットで読んだ方が良いと思います。
サイトをHTTPS対応したい
最近はGoogle ChromeがHTTPS対応していないサイトを危険物扱いしてしまう関係で、ほぼHTTPS化は必須科目になっているかと思います。 それでなくとも、WordPressでユーザー情報を扱う以上、SSL対応は必要でしょう。 と思っていたのですが、そもそもSSL対応まで含めた3部作が最初から構想にあったようです。
#DNSをはじめよう でドメイン買ってAWSアカウント作ってRoute53使い始めるじゃん?次に #AWSをはじめよう でEC2とELBとWordPress使ってサイト作るじゃん?そんで #SSLをはじめよう でサイトをHTTPS化するじゃん?と思いついてしまい、やばい、まだ1冊目も完成してないのに3部作構想だ。 #技術書典
— mochiko@4/14 技術書典6【あ02】で #技術をつたえるテクニック を頒布 (@mochikoAsTech) April 3, 2018
「SSLをはじめよう」の出版に期待です。
総評
AWSに限らずパブリッククラウドのサービスを使い始める時、まず最初に触れるのはIaaSになると思います。 私のように、とりあえず触れていみたいけど何から手をつけたら良いか分からない方には本当にオススメの一冊です。 値段も1,500円と非常に安価なのでオススメです。